Apple Engine

Apple, iPhone, iOS, その周辺のことについて

ARM 版 Mac について考える

噂によると Intel の CPU とは異なり iPhone, iPad のように ARM ベースの Apple A チップの CPU を使用するものをいくつか開発しているらしい。

 

CPU

iPhone の CPU は高効率と高性能に分かれており、高い処理が必要ない場合は高効率のものを使いバッテリーの消費を低くし、高性能はバッテリー消費は激しいが重い処理をこなすことができ状況によって切り替えている。

動作を確認していないのだが、発熱を抑えるため、高効率 or 高性能 を使用する際通常半分しか動かさないという話があったり、 最大限の能力を使用するために近頃のチップは高効率と高性能を全て使うこともできるとのこと。

 

話は戻り、ARM 版 Mac 噂によるとそのひとつは次期チップ A14 ベースとの事で 12 コアで、高効率コアは現行の iPad 同様に 4 コア、高性能コアは 8 コアらしい。

高性能が 8 コアと考えると大体倍ぐらいだろう。

 

シングルスレッドは Apple A 13 で現行で出ている Mac の Intel チップより速いのでマルチスレッドで考えてみる。

Geekbench によると、
A12 と A12X との差が 4608 / 2656 = 1.734

 

公式的には A12 と A13 は 20 % up らしいので、 単純に考えると Geekbench の A13 のマルチコアベンチマークの 3412 * 1.2 = 4094。

さらに 4 コアの A12X の伸び率の倍と考えると、4094 * ( 1.734 * 2 ) = 14198 となる。

本当にこのスペックになるかわからないが、その場合は全ての iMac Pro を超え Mac Pro Intel Xeon W-3235 @ 3.3 GHz の 12 cores のマルチコアのスコアを超えてしまう。

 

とはいかなくても、第9世代の Intel Core i9 レベルには到達しうる存在となるだろう。

初めは MacBook など下のグレードから始めるという噂なので、このスペックではなくても余裕だと考えられる。

 

GPU

噂によると外部の GPU はつけないとの話だが不明。

次、もしくはその次の MacBook Pro で Intel 第11世代の TigerLake が載る場合、GPU が iris 系ではなく Xe という新しいアーキテクチャとなり、Intel 曰く既存の倍となるらしいのでかなり速くなるだろう。

それに近しいもので対抗するだろうと思われる。

以前まで、Apple A チップは Imagination Technologies のライセンスの元で GPU の設計を使用しており、Apple 自社製のものに変えた際に契約を辞めたが、再度契約を開始している。

今後、何かに Apple A チップの GPU 絡みで Imagination Technologies の特許を採用する可能性もありそう。

 

ARM 版チップにする利点

省電力化とバッテリー稼働時間の増加

Apple の目的はそこだと思っていて、A14 が 5nm のプロセスルールでつくられれば、単純に20〜40%ぐらいは省電力ができ、Intel チップより稼働時間が伸びると思われる。

Surface Pro 7 の最大稼働時間が約 10 時間、ARM チップを使用した Surface Pro X が最大稼働時間 13 時間だったので、そのぐらいは伸びると思われる。

 

ロジックボードの省スペース化による利点

MacBook Pro の分解写真を見てもらうとわかるのだが、半分は本体基板であるロジックボードが占めている。

iPad のロジックボードはかなり小さいし、A14X と思われるチップが載っても大した大きさにならないだろうし、T2 のようなマイクロコントローラーなども必要がない。

バッテリーの量も増やせるだろうと思うし、本体が薄くできそうだし、SIM が使え、iPad と同じような基板設計ができそうなので良いことしかない。

 

低発熱

MacBook Pro の本体部分の中身で大きのはバッテリーで、その次はファンである。

ARM チップを使用することで、発熱を抑えられ、ファンの大きさも今ほど必要ないかもしれない。

 

欠点

多分、Intel チップのエミュレーションは行わないと予想されるので、アプリは ARM 版にビルドし直す必要があると思われる。

また、Final Cut Pro X や Motion などのサードパーティ製のプラグインが ARM 版で動くよう作ってくれるかは不明だし、OpenGL など使用しているツールやゲームをシェアの少ない ARM 版 Mac に提供してくれるとは思わない。

 

まとめ

今後の流れからソフトウェアが対応されるかは謎ではあるが、ハードウェア的にはほぼ利点しかない。

ARM 版 Mac とはあるが、もしかするとノートPCのようにディスプレイとキーボードがついたクラムシェルな iPad かもしれないし、Intel チップと Apple A チップが両方載った端末かもしれない。