Reality Composer 1.4 の新機能
新しい iPad Pro で LiDAR センサーによる現実世界の遮蔽物の検知ができる機能(オブジェクトオクルージョン/リアルワールドオクルージョン)が加わったことに伴い、Reality Composer のバージョンが上がりバグ修正と新しい機能が追加された。
新機能は以下の3つ
- オブジェクトオクルージョン / リアルワールドオクルージョン
- アクセシビリティの設定
- USDZ 書き出し
オブジェクトオクルージョン / リアルワールドオクルージョン
第2世代の iPad Pro 11 inch と第4世代 iPad Pro 12.9 inch のみ使用できる機能。
詳細の項目とシーンの物理でリアルワールドオクルージョンを設定すると、今まで平面の床が物理判定だったものが、現実世界の遮蔽物に合わせて物理判定が行われるように変わる。
段差のある場所に仮想オブジェクトを置くと高低差を認識して配置されたり、ピープルオクルージョンのように柱や扉などが仮想オブジェクトが置かれた場合隠れるようになっている。
アクセシビリティの設定
シーンとオブジェクトに対してアクセシビリティの読み上げで読み上げられる文字とシーンの記述(説明)が追加できる。
シーン、オブジェクト、トリガーに設定可能で、Voice Over 使用時にシーン開始時やシーンの説明とオブジェクトの説明、トリガー使用時に読み上げられる。
現状、アプリや QuickLook で再生することができるが、RealityKit 側では読み書きする API が存在しない。
シーンのアクセシビリティ
オブジェクトのアクセシビリティ
ビヘイビア(トリガー)のアクセシビリティ
USDZ 書き出し
Reality Composer 単体から USDZ ファイルの書き出しが可能になった。
実験的機能となっているため、macOS の場合はメニューバー 「Reality Composer」から環境設定、iOS / iPadOS では設定アプリの 「Reality Composer」にある 「USDZ形式の書き出しを有効にする」をオンにしないと「書き出し」の際に選択できない。
macOS
iOS / iPadOS
Pixar の仕様にはなかったはずの機能だが、Apple 独自の仕様によりオブジェクトアンカー以外のアンカーが設定でき、ビヘイビアや音声ファイルを埋め込むこともできる。
USDZ はただの zip ファイルなので中身を展開してみると、画像、音声の入ったフォルダとUSDC ファイルがある。
(今まで通りフォルダ名 0 が画像、1 が音のファイル)
それ以外のファイルがないため USDC に記述されており、USDC なバイナリを Hex で見ると、シーンで使用した効果音の caf ファイルが含まれるパスが書かれてあった。
注意点
アクセシビリティ
Voice Over 使用時は効果音など付いた USDZ を QuickLook でプレビューしても再生されないので注意。
また、挙動がおかしくなる時がある。
USDZ 書き出し
シーン開始などで USDZ オブジェクトのアニメーションを設定し USDZ に書き出した場合、再度 Reality Composer でそのファイルを読み込み、シーンを再生した際には、ビヘイビアがなくても自動でアニメーションが再生される。
そのため、Reality Composer では個々のオブジェクトを強制的に再生停止ができない。 何らかの振る舞いからアニメーション再生や停止をさせたい用途があるのなら書き出しには注意が必要。
USDZ のソースにアニメーション設定が書かれてしまっており止めることができない。
アプリとしてつくる場合は RealityKit の API で止める必要がある。
まとめ
オブジェクトオクルージョンは表現を広げ、USDZ の書き出しはテンプレートや読み込んだ USDZ のオブジェクトにアニメーションをつけたり、音をつけて USDZ として書き出すことができる。
アクセシビリティに関しては、ユーザーがつくるものとしては必要ない気がするが、音声で指示する何らかのインタラクションとして AR の次の機能として付けたいような感じはしている。