iPhone X を触った感想
11月3日の発売日に入手して一通り触った感じを
一言でまとめると全体的に生煮え。
Apple のバイスプレジデントたちが言っていたように、iPhone X はコンセプトモデルであり、新しい端末を試してみたい人向け。
多くの人にとっては iPhone 8 や 8 Plus の方がよいように思われる。
主な理由は3点
- Face ID での認識ミスがそれなりにある
- ホームボタンがなくなったことで、いくつかの動作がワンステップ多くなったり、使いにくくなっている。
- わりと本体が重い(174g で iPhone 6 Plus より重く、缶コーヒーの重さに近い)
それを加味しても、Face ID や ホームボタンをなくすことで新しい UI モデルをつくろうとしている点は好感が持てるし、 後々の OS のアップデートや後継機で改善されるだろうから、この端末だけでは評価は難しいところはある。
以下、iPhone X について。
Face ID
認証について
認識に関しては Touch ID 並みに素早く、最初の実装端末でここまでできたのは素晴らしい。
認識が通っている場合は南京錠の鍵が開くアニメーションが行われる前からロックが解除されているように思われので、
慣れるとホームボタンをタッチする動作と、フリック動作でのロック解除の時間は誤差でしかない。
ただ、Touch ID の場合は顔を画面に向ける前にロック解除ができるため、そこにイライラが溜まるかもしれない。
メイクなどでは認証にはあまり差し支えはないが、のびたヒゲなどはある程度認識エラーからの学習が必要な模様。
マスクは厳しいという話だが、自分の場合は上唇が見えていれば認証が通った時が多々あった。マスクを少しずらすだけで認証が通る可能性がある。
認証エラー
他でも言われているように強い光に弱く、試したところ背面からの強い光では認識が難しかった。
また、暗い部屋での前面からの光を強く受けた場合も認識できず。
理由がわからないが地下鉄の中でも認識ができいケースが多かった。
Apple 先生にはちゃんとフィールドテストをしてもらいたいと思ったり。
何度か試したが端末が横に傾いていると認証を行うことができない模様。
(センサー類で傾きを調べているのかも?)
Mobile Safari での Key Chain / Apple Pay
デフォルトで Web のフォーム入力のアシストや Apple Pay は Face ID を使用している。
ひどいと感じた部分は認証エラーがかかっても UI 上にパスコードを入力するボタンが出ない場合があり、
Face ID のエラー上限である 5 回を超えた場合、上限を超えた文言が出ないため永遠に失敗し続ける。
一度スリープボタンを押して、パスコードを打つしかない。
一応、パスコードの入力に関しては Bug Report の Suggest として出しているが実装してくれるかは不明。
なくなったホームボタン
ホーム(スプリングボード)以外では画面下に角丸の長方形の UI が表示される。
(Apple の開発者サイトの Designing for iPhone X のビデオではインジケーターと呼んでいる)
この UI の上フリックがホームボタンに相当し、アプリ起動時以外は基本的に他の状況でも同様な振る舞いとなっている。
そのため、ホームボタン二回押しやダブルタップ、長押しがないため、本体右のサイドボタン(スリープボタン)で代用する形となっている。
初期状態のサイドボタンの振る舞い
操作 | 機能 |
---|---|
サイドボタン 1 回押し | スリープまたはスリープ解除 |
サイドボタン 2 回押し | Apple Pay 起動 |
サイドボタン 5 回押し | 緊急 SOS |
サイドボタン長押し | Siri 起動 |
サイドボタン + 音量(大)ボタン | スクリーンショット |
サイドボタン + 音量ボタンを長押し | 電源を切る(音量ボタンはどちらでも可能) |
また、アプリから他のアプリに移動した際、右上の時計の下にアプリ名の戻るボタンが出現するが、振る舞い的にはインジケーター右フリックと同じであり、こちらを利用すると上に指を持って行く必要はなくかなり便利になった。
App Switcher
アプリ起動時下スワイプから App Switcher が起動し、 ホーム(スプリングボード)の場合は大体1/3以上フリックし離すかしばらくすると、Taptic Engine が動作しフィードバックが行われ起動する。
振る舞いに関しては慣れだが、iPhone 8 以前と異なり、上フリックの振る舞いでアプリのウインドウが指に追従するため、アプリ切り替え時に思考が途切れる。
操作の境目がなく、個人的にはあまりよい UI だとは思えないので、ある程度動かしたらユーザー操作ができなくなり App Switcher にアプリが並んで欲しい。
思うのは画面下部のインジケーターの左右フリックでアプリの切り替えができるため、 App Switcher の重要性が少なくなっているのかもしれない。
また、アプリを落とす場合 App Switcher でアプリを長押ししてから、アイコンの × を押すか、上フリックを行わなければならなくなったため、ユーザーの多くはアプリを閉じない可能性がより高くなった。
開発者側の視点だが、バックグラウンドで動作するアプリに関しては裏で無駄に動作するものは、前にも増してアプリごと消される可能性がある。
Super Retina Display
狭額縁の画面は没入感を増し、カメラセンサーがある邪魔な部分は慣れであまり気にならなくはなる。
自分の所持していた iPhone 7 と比べ画面が増えたため、かなり注意力が奪われる。
4.7 インチから移行する人は注意。歩きスマフォ危険。
動画
ベータ版のシミュレータでは 21:9 の動画を再生した際、 画面の横幅いっぱいまで広がっていたが製品版ではカメラの出っ張り部分に被らず、 ちゃんと余白の中に収まるようになった。
Mobile Safari の Video タグも同様。
iPhone X の Human Interface Guidelines によると、 2:1 という珍しい比率のものだとぴっちり画面に合うらしい。
iPhone X - Overview - iOS Human Interface Guidelines
ゲーム / AR
フルスクリーンの際、ゲームや AR での没入感が上がる。
有機EL(OLED)
特性上仕方ないが本体を斜めにすると色味が変わってしまう。
また、焼きつき防止のためディスプレイ限界の光度は発光できないと予想している。
個人的には液晶の方がモバイルデバイスにあっていると思っているので、今後の後継機ではシャープやジャパンディスプレイなどが製造している自由な形状にできる液晶を使用してもらいたい。
TrueDepth カメラによる顔認識
ロック解除に関しては端末を縦(ポートレート)にしないと顔の認識をしないが、
ARKit の API、ARFaceTracking ではアプリ自体が横向きに対応していれば、端末の向きは関係なく動作する。
(Animoji も同様に技術を使用しているがアプリの都合上しか縦でしか認識しない)
追記: Face Tracking は FaceTime HD のカメラしか使ってないようで、TrueDepth カメラのセンサー類は使っていない模様。
カメラ
まだあまり写真は撮っていないが iPhone 7 と異なり全体的に白っぽくなることはなくなった印象。
背面の iSight Duo カメラは両カメラで手ブレが効くので、ズームの手ブレが必要なら Plus よりこちらを選ぶことになる。
iPhone XとiPhone 8 Plus。どっちの望遠手ブレがすごいでShow | ギズモード・ジャパン
ただ、iSight Duo カメラの出っ張りが直角で本体にくっついているので、Plus のように斜めになっていて欲しかったし、個人的には Windows Phone の Lumia のフラグシップがこのレベルだったのでやっと近づいたという感じではある。
ワイヤレス充電
店頭でしか試していないが、qi の充電器に置いた際 TapTic Engine によるフィードバックがあるため、昔の無線充電と比べて位置の問題で充電されていないという状況にはなりにくそう。
本体
正直、端末の大きさの割に重い。
その代わりバッテリーが Plus 並みにあるので、自分の使用用途では iPhone 7 ではギリギリ就寝まで持つ程度であったが iPhone X では約半分残るぐらい持つ。
iPhone X の主な操作
ジェスチャを使って iPhone X を操作する
iPhone で緊急 SOS を使う