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Apple, iPhone, iOS, その周辺のことについて

2018 版 MacBook Pro はどれを買うべきか?

8/2 追記修正: i5 スレッド数を修正

Geekbentch でのベンチマークも出てきたのでまとめてみようと思う。

www.macotakara.jp

www.geekbench.com

 

前回のおさらい

こんな感じ。

  • 2018 の 15 inch は現行の iMac のフルスペックのモデルより CPU が速い
  • 2018 の 13 inch は 2017 の 15 inch フルスペックより CPU が速い

 

マルチコアでの集計

シングルスレッドは圧勝なのでマルチコアでの集計。

以前の記事で書き忘れていたが、CPU では新しい 15 inch は 2012 の Mac Pro を凌駕し、 13 inch は現行の iMac 21 inch のフルスペックに近い。

13 inch は現行の iMac 21 に抜いたり抜かれたりを繰り返しているので同等と考えてよい。

 

GPU に関してはデスクトップに勝つにはやや厳しさがあるので割愛。

端末 CPU コア数 Multi Core
iMac Pro
Late 2017)
Xeon W-2191B @ 2.3 GHz 18 46655
iMac Pro
(Late 2017)
Xeon W-2170B @ 2.5 GHz 14 40167
iMac Pro
(Late 2017)
Xeon W-2150B @ 3.0 GHz 10 35219
iMac Pro
(Late 2017)
Xeon W-2140B @ 3.2 GHz 8 30548
Mac Pro
(Late 2013)
Xeon E5-2697 v2 @ 2.7 GHz 12 26486
MacBook Pro
(15-inch Mid 2018)
Core i9-8950HK @ 2.9 GHz 6 22535
MacBook Pro
(15-inch Mid 2018)
Core i7-8850H @ 2.6 GHz 6 22264
MacBook Pro
15-inch Mid 2018)
Core i7-8750H @ 2.2 GHz 6 21099
Mac Pro
(Mid 2012)
Xeon X5675 @ 3.1 GHz 12 20008
iMac
(27-inch Mid 2017)
Core i7-7700K @ 4.2 GHz 4 19325
iMac
(21.5-inch Mid 2017)
Core i7-7700 @ 3.6 GHz 4 17720
MacBook Pro
(13-inch Mid 2018)
Core i7-8559U @ 2.7 GHz 4 17678
MacBook Pro
(13-inch Mid 2018)
Core i5-8259U @ 2.3 GHz 4 16401

Mac Benchmarks - Geekbench Browser

 

サーマルスロットリングについて

7月25日の「macOS High Sierra 10.13.6 追加アップデート」で MacBook Pro 2018 に対して修正が加えられ高負荷時でも正しいCPU性能を出すようになった。
以下の問題は改善されている模様。

スペック表に Turbo Boost と書かれているが、消費電力や低発熱など一定条件で負荷がかかった際に CPU が持つ規定の周波数から高い値に変更する Intel チップが持つ機能を指す。
例えば、MacBook Pro 13-inch 2018 の Core i5 は 2.3GHz だが Turbo Boost 使用時には 3.8GHz で稼働する。

逆に CPU に負荷がかかりまくり、発熱しまくると、CPU の周波数を下げチップを保護する。
これをサーマルスロットリングと呼ぶ。

現状、15 inch の i9 でサーマルスロットリングが起き期待したパフォーマンスを発揮できない事例が報告されている。
そこで起きている問題は、Adobe Premire で 5K の動画を 4K H.264 にエンコードした際 i9 より 2017 モデルの i7 の方が速いとされている。 冷蔵庫に i9 の MacBook Pro 入れながら動作させると i7 より速いとのこと。

Adobe のソフトウェアは Metal 2 に最適化されていないので 9to5 Mac が Final Cut Pro X で試しているがパフォーマンスの低下が見られるとのこと。 9to5mac.com

 

Geekbench でアプリのビルドの際、CPU のみを使用して実施しているが、CPU を動作させてサーマルスロットリングが起きる率は少ないとされている。 www.geekbench.com

 

現状、わかる範囲では GPU と共に高負荷の処理をさせた際に現れている模様で今後解消されるかは不明。
個人的にはラップトップに負荷を与えまくって動作させまくるのは良いと思えないので、
eGPU で回避できるのならそちらの運用を考えた方が良いのだろう。

 

サーマルスロットリングの問題が解消されていても Core i9 を購入対象に入れるか

個人的にはあまりに必要ないかなとは思っている。
マルチスレッドのベンチマーク上では 15 inch 標準構成 Core i7 の 2.2 GHz と比べて約 1.1 倍なので。

また、Core i9 の Thermal Velocity Boost という機能があり、電力に余力があり、ある一定の温度以下(確か 50 度以下)の場合、クロックを 200MHz 引き上げる。
それが、通常の環境でちゃんと動作するか不明なため。

ただ、レンダリングやエンコードなど CPU を長時間動作させるものに対しては 1.06 倍の差は大きく出ると思われる。
Apple が想定しているように上級者のクリエイティブ向けオプションであり、その対価を払えるかどうかというところ。

 

どれを買うべきか

前回も書いたのだが、スペックを見る分では、
正直、標準構成でも割と良いと思っている。

以下、標準構成 (以降価格は税別)

端末 CPU コア/スレッド GPU メモリ ストレージ 価格
13 inch i5 2.3GHz 4/8 Iris Plus 655 8G 256G 198,800
13 inch i5 2.3GHz 4/8 Iris Plus 655 8G 512G 220,800
15 inch i7 2.2GHz 6/12 Radeon Pro 555 16G 256G 258,800
15 inch i7 2.6GHz 6/12 Radeon Pro 560 16G 512G 302,800

 

13 inch と 15 inch の違い

画面サイズが 13 inch と 15 inch と異なる点以外を見ていく。
基本的にはスペックや画面などの作業領域をとるか、軽くて小さい方をとるかという感じ。

13 inch 15 inch
重さ 1.37kg 1.83kg
大きさ A4 ぐらい B4 ぐらい
CPUコア 4コア/最大8スレッド 6コア/12スレッド
GPU 13 inch より
倍以上速い
メモリ LPDDR3 DDR4
トラックパッド 13inchより大きい
(広い)
電源 61W 約192g
iPhone X より重い
87W 約296g
iPhone 8 2台分ぐらい

 

多分、購入で重さが一番の判断基準になりそう。

13 と 15 の差は 460g あり、450ml のペットボトルを余分に持っているのと同じとなる。
電源を持ち運ぶとなると、さらに iPhone 1つ分増える。

15 inch は電源合わせて約 2.1 kg を持ち運んでも苦にならない、 もしくは、あまり持ち運ばなくて B4 サイズぐらいのスペースが許容できる人向け。

 

できるだけ早く欲しい

標準構成の場合は家電量販店でも購入できるので在庫があれば即買えると思う。
また、量販店の場合はだいたい5%のポイントがつくので約1万円ぐらいポイントが付く。

Apple のリテールストア(実店舗)が住まいに近ければ、量販店より在庫が多く、英語や一部ヨーロッパの国のキー配列のものを即持ち帰られる場合がある。

 

それなりのスペックで軽く小さい方がいい

MacBook Pro 13-inch i7 2.7GHz で、SSD 512GB、メモリ 16GB を薦める。
¥275,800 也。

想定している使用年数にもよるが、1年とかで速いスパンで乗り換えない場合は、メモリは後で変更や拡張できないため 22,000 円をケチらず 16GB にした方が良いと思われる。
SSD に関しては USB-C や NAS 等で拡張できるので、もし失敗しても後でリカバーが効く。

もし、何年か使うことを想定していて、現状 256GB のラップトップを使用し半分以上容量を使用しているなら、今後のため 512GB にした方が良いと思われる。 1T や 2T は映像などクリエイティブ向け通常ここまで使用はしないと思われる。

以下、13-inch i7、メモリ 16GB で SSD を変更した際の価格。

SSD 価格
256GB 253,800
512GB 275,800
1TB 319,800
2TB 407,800

 

そこそこハイスペックを求める場合

MacBook Pro 15-inch i7 2.2GHz で、SSD 512GB、メモリ 16GB を薦める。
¥280,800 也。

CPU i7 2.6GHz (GPU 560X) を選ばないのはスペックの伸び率が費用と比べた際に微妙なので。
Adobe 系や動画や RAW 画像の編集などクリエイティブ関連のアプリを使用しない通常使用の場合でメモリー 32GB 必要かというと不明だが、後々の伸び代をもたせたい場合は、44,000 円を払って 32GB に変更しても良いかもしれない。
メモリーは後で変更できないため。

Core i9 を選ばないのはコストパフォーマンスの問題で 44,000 円をメモリーやストレージを増やす足しにした方が幸せになりそうだから。

GPU を 560X に変更するのは価格に納得できるか。
VRAM が同様なので、ほぼ GPU のコア数も違いしかなく微妙。
プラス 11,000 円で端末オプションの中では1番安いバージョンアップ価格なのでお財布に余裕があれば。

一応、本体の大きさがそれなりにあるので、もし時間があれば実物を見た方が良い。

 

eGPU を使用する

eGPU における効果としてはグラフィックを扱う環境が向上するため、家や会社など固定された空間では使用するべきだとは思う。
プラス 6 万〜 10 万近くなり、用途によってはディスプレイが必要になるが、
eGPU を使用する場合は端末の GPU より速くなる。

以下、使用体験が向上すると思われる例

  • 3DCG で AMD ProRender などの GPU レンダリング
  • 2DCG アプリのプレビュー
  • 編集や動画のエンコード
  • Unity や Unreal Engine などのゲームエンジンのエディター
  • ゲームの高画質化などの体験向上
  • Metal を使用した機械学習

 

BlackMagic 社から出ているものは、Apple と共同開発しているらしく、負荷をあげても静音性に優れているとのこと。

また、GPU の機能を強化したい場合で USB-C の MacBook Pro を所持しているのであれば、無理して 2018 年モデルを買わなくても、eGPU の購入だけでも良いと思う。

 

2018 の MacBook Pro を買わずにやりきる

税込にすると20万超えるので他の構成も考えてみる。

ネットや動画再生、Microsoft Offce や Pages、Numbers、Keynote などテキストベースで行う作業なら、正直 Mac を使わず iPad や他のタブレットの運用で良いと思われる。
約半値で構成できるし、物にもよるがタブレットなら LTE のセルラー回線を使うことができ、モバイル WiFi のようなものを持ち運ばなくて済む。

iPad やタブレットでどうしても作業できない場合かつスペックが欲しい場合に MacBook Pro が必要かと。
テキストベースの作業でスペックがいらない場合は MacBook や MacBook Air の方が安いので。

Mac を持ち運ぶケースが少ないのなら、個人的には iMac / iMac Pro と iPad やタブレットという選択肢が1番良いかと。

また、iPad ほどの画面がいらないのなら、iPhone の Plus サイズで代用すれば、スマートフォンとタブレットを共に持たなくても良くなる。

 

PC ラップトップと比べた場合

Surface シリーズは割高な上に CPU の世代が古く、Let's Note はいわずものがなという感じ。

本当にストイックな動作をさせたいなら、ラップトップのゲーミング PC が同価格で買える可能性がある。
ただ、重さがかなりあるので注意。

個人的にはラップトップのゲーミング PC のコスパが悪いと思っているので、デスクトップ PC を購入した方が良いと思われる。

 

Mac 整備済製品で2017年版を買う

2017 の 13 inch は遅し、
2017 の 15 inch は 2018 の 13 inch より高いのであまりお勧めできない。

強いていうなら、15inch 以下から 15inch への画面のサイズアップと GPU とメモリの容量を増やしたい人向け。

www.apple.com

 

まとめ

購入対象になるそうなものまとめてみた。

13 inch

CPU コア/スレッド GPU メモリ ストレージ 価格
i5 2.3GHz 4/8 Iris Plus 655 8G 256G 198,800
i5 2.3GHz 4/8 Iris Plus 655 8G 512G 220,800
i7 2.7GHz 4/8 Iris Plus 655 16G 512G 275,800

 

15 inch

CPU コア/スレッド GPU メモリ ストレージ 価格
i7 2.2GHz 6/12 Radeon Pro 555 16G 256G 258,800
i7 2.2GHz 6/12 Radeon Pro 555 16G 512G 280,800
i7 2.2GHz 6/12 Radeon Pro 555 32G 512G 324,800

 

13 / 15 inch + eGPU

Blackmagic eGPU ¥89,800
https://www.apple.com/jp/shop/product/HM8Y2J/A/blackmagic-egpu

CPU メモリ ストレージ eGPU 合計価格
13 inch i5 2.3GHz 8G 256G 288,600
13 inch i5 2.3GHz 8G 512G 310,600
13 inch i7 2.7GHz 16G 512G 365,600
15 inch i7 2.2GHz 16G 256G 348,600
15 inch i7 2.2GHz 16G 512G 370,600
15 inch i7 2.2GHz 32G 512G 414,600

 

使用している 2016/2017 版の 13 / 15 inch + eGPU

Blackmagic eGPU ¥89,800 のみ。

 

というところ。

 

番外編: iPhone のように1〜2年で乗り換える

ここ最近、MacBook Pro は1年おきに出ているため、標準構成のものを1、2年でかえるのもありかも。

Apple 製品の場合はそれなりの売値がつくため、使用している端末を売ると、オプションから選択しグレードアップして2年以上もたせるより、最新スペックのものが使えるため、お得になるかもしれない。