Apple Engine

Apple, iPhone, iOS, その周辺のことについて

新しい iPad Pro、それはミドルレンジ以上のラップトップであり、現状最良のゲーミングタブレットである

ハード面から見てみる。

CPU

まずは A10X Fusion(以下, A10X)の CPU スペック。
他のサイトで言われているように周波数は iPhone 7 / 7Plus の A10 Fusion (以下, A10) と同じぐらいで、メモリは 4GB に。

L2キャッシュ も2倍以上増えているため、L1 ほどではないがメインメモリより早くアクセスしたいものが今回の iPad Pro にはあるということだろう。

CPU 最大周波数 コア数 メモリ L1キャッシュ L2キャッシュ
A9X (9.7) 2.26 GHz 2 2 GB 64 KB 3 MB
A10 2.34 GHz 2 2 GB / 3GB 64 KB 3 MB
A10X (10.5) 2.36 GHz 3 4 GB 64 KB 8 MB

 

定番の Geekbench 4 からのベンチマークを集計。

CPU シングルコア マルチコア
A9X (9.7) 2977 5020
A10 (iPhone 7) 3477 5755
A10X (10.5) 3888 9143
Core i7 6700HQ 2.6GHz (4コア) 3711 11714
Core i5 7360U 2.3GHz (2コア) 4457 9557
Xeon E5-1650 v2 3.5GHz (6コア) 3868 17054

A9X と比べてマルチコアは倍になり、KabyLake の i5 (Macbook Pro 13inch 2017) に迫る勢いではあり、SkyLake の i7 (Macbook Pro 15inch 2016) も。
また、古いチップではあるものの Xeon と同レベルとなっている。

 

GPU

Compute の Metal なのでグラフィック性能ではないが一応まとめ。

端末 チップ GeekBench Metal Score
iPad Pro 9.7 A9X 15186
iPhone 7 A10 13356
MacBook Pro 13inch 2017 Intel Iris Plus Graphics 640 25842
MacBook Pro 13inch 2016 - TouchBar Intel Iris Graphics 550 26760
iPad 10.5 A10X 27530
iMac 4K 2015 Intel Iris Pro Graphics 6200 29995
Mac Pro AMD FirePro D500 * 2 44755
iMac 5K 2017 AMD Radeon Pro 580 61459

CPU と GPU をざっくりみると、 iPad Pro 10.5 と新しい 12.9 は、 最早ミドルレンジ以上のラップトップのスペックであることがわかる。

 

ディスプレイ

メジャーなタブレットでは画面のリフレッシュレート 120Hz は多分初。
また、Apple で ProMotion と呼ばれている技術でコンテンツの状況によって更新が行われリフレッシュレートを下げることができる。
バッテリーに優しい。

また、明るさは 500 から 600 nits の変更され、HDR 対応かつ、旧 Pro と同様に Display P3 のカラープロファイルに対応している。

 

Metal 2

3Dのマテリアルを複数の命令で行なっていたものを一纏めにしたり、画像の呼び出しの最適化により透過処理が綺麗になったり、ProMotion でフレームレートを変動させたり、ある一定の制限下では直接 GPU が画面表示処理をしたりと PC で行なっていたものがスマートデバイスでも行われるようになった。

以下、主な機能。

  • Argument Buffers
  • Dynamic Indexing
  • Managing Resource Usage
  • Raster Order Groups
  • ProMotion Displays
  • GPU Composition
  • Direct to Display
  • SIMDGroup-scoped Data Sharing
  • Viewport Arrays
  • Non-Uniform Threadgroup Sizes
  • Resource Heaps

また、Rebuild.fm で Hakuro Matsuda さんが仰っていたが、Metal での Neural Network の処理が Android の TensorFlow Lite と比べても早いとのこと。

 

ゲームについて

Metal 2 は 3DCG の描画で高速処理が行うことができるようになったし、画面の綺麗さを考えると最良のモバイルゲーム機なのではとは思う。

正直、ゲーム機はコンテンンツ次第なので、ハードが良いことがアドバンテージになるわけではないが。

 

プログラミング

現状、スマートデバイス上でアプリ開発言語なプログラム実行環境を公式で提供しているのは iPad だけだと思われる。

Swift Playgrounds 2.0 ではほとんどの機能にアクセスできるため、教育からプロトタイプまで幅広く使えそう。
ARKit も使えるとのこと。

 

まとめ

性能的には表題通り一般的なラップトップと同等の働きをする。
デスクトップのアプリとは用途は異なるのであれだが、スマートキーボードと Apple Pencil を共に買っても Surface Pro より価格はかなり安くなる。
用途によっては 今回の iPad Pro がメインになるターゲット層は多いのではないかと思っている。

iOS 11 で Files アプリやドラッグ&ドロップも増えて、より PC/Mac の使用感に近づくだろうし、放置されていた iWorks 群の更新も最近は多い。
iWorks を使わずに Microsoft Office 使用することも可能だ。

ペイント系のアプリも初期の頃の iPad と異なり、Pencil が使えることでより、楽に操作できるようになった。
今後、iPad でラフを描いてデスクトップで仕上げるという工程も、iPad だけで行うケースも多くなるのではないだろうか。

モバイルでも見た目の綺麗なゲームが多くなりつつあり、ARKit などで iOS での 3DCG のコンテンツも増えると信じている。
3DCG のツールや Final Cut Pro、Logic Pro などが iOS で出た時 iPad がクリエーションツールに変化するのだろう。

また、めっちゃお金のある Apple が GPU のライセンスを Imagination Technology から切り離すとなると、今後設計する GPU 相当自信があることとなるわけで期待できるだろう。

噂では、次期 SoC を 16nm FinFET から 10nm すると言われている。
さらなる加速が期待できそうではある。

どうやら A10X Fusion は 10nm FinFET とのこと。
A11 も同等になる可能性があり期待できそう。

 

 

参照元

今回、Geekbench の集計を MACお宝鑑定団danbo さんのものを参考にさせていただいた。

idanbo's Profile - Geekbench Browser

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